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はじめに:なぜ「図面通り」なのに製品がバラつくのか?

精密板金の世界では「図面通りに作る」「寸法を守る」ことは当たり前の大前提です。

しかし、実際の現場では「図面通りに作ったはずなのに、量産すると製品が安定しない」というケースが少なくありません。

精密板金の本当の品質は、図面の数値に加えて、“素材の特性や後工程(塗装・組立)を見据えた「現場の判断力」”によって決まります。

今回は、株式会社ティー・エム製作所が日々の加工で大切にしている、安定した品質を生み出すための「工程ごとのこだわり」をご紹介します。


1. 展開(CAD/CAM)段階で決まる「量産を見据えた考え方」

板金加工の最初の工程である展開段階では、単に形状を作るだけでなく、以下の視点が不可欠です。

  • 材質(SPCC、SUS、アルミ等)ごとの伸縮率の考慮

  • 量産した際に精度が安定する加工順の設計

  • 組立時に無理な負荷がかからない構造の検討

「1個だけ作る」のではなく“「100個、1000個と続けて作る」”ことを前提に展開を行うことで、ロットごとの微細なズレを防ぎ、現場での無駄な調整を排除します。


2. 切断品質は「後工程すべて」に影響する最重要ポイント

レーザー加工機やタレットパンチプレス(タレパン)による切断は、製品の「基礎」を作る工程です。

  • 穴位置の正確さ

  • 端面の滑らかさとバリの抑制

切断精度が安定していないと、その後の曲げ精度が狂い、最終的な組立でズレが生じます。

弊社では、切断を「単なる前工程」ではなく、“「最終品質を決定づける重要工程」”と位置づけ、端面一つひとつの状態にまでこだわっています。


3. 曲げ工程は「最新設備×職人の経験」の掛け合わせ

曲げ加工は、同じ図面・設備でも仕上がりに差が出やすい工程です。

  • 板厚の微妙なバラつきや材質のクセ(スプリングバックなど)

  • 複雑な曲げ回数による累積誤差の管理

これらは数値データだけでは管理しきれません。

ティー・エム製作所では、最新設備のデータ管理に加え、現場のベテランが持つ“「手の感覚」と「経験値」”を掛け合わせることで、安定した曲げ精度を実現しています。

この安定性が、後の組立のしやすさ、そして美しい見た目へとつながります。


4. 溶接・仕上げは「強度と美観」の絶妙なバランス

溶接工程では「強度・歪み・見た目」の3要素のバランスが問われます。

  • やりすぎれば熱で歪みが出る

  • 控えすぎれば強度が足りない

精密板金において「どこまでやるか」を見極める判断力こそが技術です。

特に量産品においては、常に一定の仕上がりを再現できる体制を整え、製品ごとの個体差を最小限に抑えています。


5. 板金品質が安定すると「塗装工程」が劇的にスムーズになる

ここが弊社の大きな特徴です。板金工程の精度が安定すると、その後の**「塗装工程」”での密着性が良くなり、仕上がりの美しさも格段に向上します。

弊社は自社内に塗装工場を併設しているため、“「この板金の仕上げなら、塗装後はこう見える」”という逆算の視点を常に持っています。

板金と塗装の現場が密に連携することで、手直しを減らし、工程全体のリードタイム短縮と品質向上を同時に実現しています。


まとめ:精密板金は「派手さはないが、確実に差が出る」

精密板金は、完成した見た目だけでは違いが分かりにくいかもしれません。

しかし、“「量産を重ねたとき」「厳しい環境で長く使われたとき」”に、その品質の差は確実にあらわれます。

株式会社ティー・エム製作所は、瑞穂・青梅・入間を中心とした三多摩エリアで、設計から精密板金加工、そして塗装までを一貫してサポートしています。

「図面通りのはずなのに歩留まりが悪い」「量産時の品質を安定させたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、私たちの現場力をご活用ください。


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それではまた次回!!